企業リスクについて


企業リスク

 土壌汚染・水質汚濁(地下水汚染)は,従来のように工場周辺の問題から、株主、マスコミ、国や自治体等、多くの関係者を巻き込んだ複雑な問題に様相を変 えつつあります。
 住民や消費者の環境意識の高まりや、国や自治体の環境規制の強化等の中において、土壌汚染、水質汚濁への対応は、環境問題の解決に大きな社会的役割を期 待されている企業にとっては、その基本姿勢を問われる試金石の一つとなりつつあります。

企業リスク リスクマネジメントの視点から検討し実行すべき項目
  @社内における実行体制の整備
  A早期発見・修復の実施 
  Bディスクロージャー(情報開示)

 汚染が早期に発見されれば、調査・対策費用や社会的信用という面で被害は少なくなります。また、情報開示を企業の基本方針とする事によって、問題点を把握する体制が整備され、企業経営に与える影響の把握やリスク対応能力の向上にもプラスとなります。

 土壌汚染対策法では土地所有者に課せられる責任として、土地の用途変更や工場跡地の売買、再開発時に「汚染状況調査」と都道府県知事への調査結果の報告が義務付けられ、さらに汚染が基準を超過し健康被害の恐れのある時には「汚染の除去等の措置」が規定されることとなっています。また、これらの調査の結果のみでなく、過程についても情報公開が前提とされるようになり、廃棄物の問題だけでなく、土壌の管理についても、それらの問題を放置し続けることは事業者として非常に大きなリスクを背負うこととなります。
 更に、搬出・処理後の維持管理(法規によるもの)も今後、求められる可能性が生じています。


民法の瑕疵担保責任

●民法

  • 土地が売買された後に汚染が判明したときは、買主は売主に対して、瑕疵担保責任を追及することができる。売主の責任は無過失であるが、責任を追及 するためには、取引で一般に要求される注意をしても、汚染を発見できなかったことが必要である。
  • 責任の追及は、買主が汚染の存在を知ってから1年以内に行わなければならない。判例は、この期間内に裁判外で請求や解除の通知をしておけば、債権 一般の消滅時効(10年)にかかるまで存続するとしている。しかし学説では、1年以内に訴えを提訴しなければならないとしたり、1年以内に時効中断手続き をしなければならないとする見解が 多い。
  • 瑕疵担保責任の規定は任意規定であるから、売買契約で責任内容を定めれば、原則として契約の規定が民法の規定に優先する。ただし、売主が責任を負わないと いう特約をしても、売主が汚染を知っていたときは責任を逃れない。
  • ●資産・担保価格への影響
    ※ 不動産が持つ経済的な価値に影響を与えます。
      □土壌・地下水汚染が判明した場合
       ・浄化費用や損害賠償の負担義務が生じ、損害を被る
       ・土地の利用方法に制約が加えられるなどの問題が発生

    ●土地売主の責任
    ※ 売買された土地が汚染されていた場合は、損害賠償請求を求められる可能性があります。

    売主の買主に対する瑕疵担保責任

        ・土地の売買契約解除
        ・損害賠償請求を求められる可能性

    ■不動産業界の動き
     平成15年1月1日から、不動産鑑定士が土地や建物の価格を鑑定する際、土壌汚染などの有無を調査し、汚染が見つかった場合には、浄化費用などを割り引いて算定することになりました。
     政府機関の調査では、土壌汚染の可能性が大きい場所は、全国に約32万箇所あると見積もられています。


    ■「土壌汚染が含み損に」減損会計導入
     土壌汚染が企業に与えるリスクは、減損会計の導入でさらに高まり、不動産鑑定評価におけるリスク調査のニーズは高度化・多様化し、土壌汚染などの措置費用が「環境債務」として位置付けられ、その評価・開示が義務付けられようとしています。損害保険会社のシミュレーション結果として『標準地価が2億円の土地で汚染が発覚した場合、土地所有者には浄化費用5億円に加え隣接地の浄化費用2億円が加えられ、結果としてこの土地の時価は「マイナス5億円」として試算されてしまいます。
     この【減損会計】を適用するとこの5億円を特別損失として計上せねばならない』と例を挙げてそのリスクを警告しています。

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    土壌環境基準

    環境基準と土壌汚染対策法の指定基準は異なります。 詳しくはこちらをごらんください。
    ●環境基準●



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