土壌汚染について
■土壌汚染とは
土壌汚染とは、土壌が有害物質(重金属、揮発性有機化合物、薬品類、及び油等)により汚染される事です。
土壌汚染における問題点は、汚染された土壌を直接摂取したり、汚染された土壌から有害物質が溶け出し、
地下水をも汚染し、その地下水を飲用する事などにより、人の健康に影響を及ぼす恐れが有る事等です。
土壌は、水、大気とともに環境の重要な構成要素であり、人をはじめとする生物の生存基盤として、また、物質の循環として重要な役割を担っています。一方、土壌は、水、大気と比べその組成が複雑で有害物質に対する反応も多様であり、また、いったん汚染されるとその影響は局地的、偏在的ですが長期にわたり持続します。
土壌汚染は、これまで明らかになることが少なく、近年の企業における工場跡地の再開発等に伴い、土壌
汚染が顕在化してきました。特に最近における汚染事例の判明件数は著しく増加し、ここ数年で新たに判明した
土壌汚染の事例数は、高い水準で推移しています。
■汚染土壌の浄化事業
土壌浄化事業は、汚染調査から汚染源対策、回復作業、モニタリングまでの広範囲な技術が要求されます。
これまでは水処理メーカーや鉱業、ゼネコンなどが手がけてきましたが、あまり目立つ存在ではありませんでした。
しかし、土壌・地下水浄化への関心の高まりとともに、2000年以降はゼネコン、環境装置、造船、エンジニアリング
メーカーなど、土壌浄化技術を持つ企業、ベンチャー企業などが相次いで新規参入し、土壌・地下水浄化ビジネ
スが急ピッチで立ち上がっています。
■土壌汚染の発生状況
土壌汚染そのものは江戸期の鉱山開発から今日まで問題となっていますが、我が国で都市型市街地土壌汚染が社会的に問題視され始めたのは1970年代後半に入ってからです。
土壌汚染は操業活動における有害物質の不用意な取扱等による地表からの浸透、盛土や埋土が行われる際の汚染土壌の持ち込み、排煙に含まれていた有害物質の地表面への降下による堆積または浸透等により発生します。
特に、盛土や埋土においては、人為的原因で汚染された土壌のみではなく、自然的原因により化学物質を含んでいる土壌がそのまま持ち込まれてくる可能性もあります。
工場跡地における土壌汚染の判明事例数については、環境省が実施している土壌汚染の調査・対策事例の実態調査によれば、昭和50年度から平成11年度末までの間に都道府県が把握した事例のうち、「土壌の汚染に係る環境基準」(土壌環境基準)の溶出基準項目に適合していないことが判明した事例(超過事例)は、累積で、431件に上っています。
このうち、平成11年度に判明した事例だけで117件となっており、前年度の2倍以上の超過事例が判明した平成10年度(122件)に引き続いて高い水準で推移しています。